2回国際粉体技術フォーラム ポスターセッションプログラム

2006119()  113:00-14:00  第217:30-19:30(軽食付)

会場:幕張メッセ国際会議場 201

 

A(製剤)
17

B(ナノテクノロジー)
12

C(晶析)
6

D(その他)
4

 

A(製剤)

A01

乾式法によるシリカ複合粒子を用いた口腔内崩壊錠の設計

 

帆足洋平1、坂亜矢子2、戸塚裕一2、竹内洋文2、甲斐俊哉1、佐藤誠2

 

1)ニプロ株式会社、2)岐阜薬科大学

 

口腔内崩壊錠は通常設備で製造可能な直打による調製法の確立が期待されている。しかし基剤候補となる糖アルコールは成形性が問題となる。当研究室は噴霧乾燥法により調製した多孔性シリカと糖アルコールの複合粒子を錠剤処方中に添加することで、低成形性粉体の成形性改善に成功している。今回我々は、ボールミルやメカノフュージョンを用いた乾式プロセスにより複合粒子を調製し、成形性改善効果について検討を行った。

A02

薬学的応用のためのサブミクロンサイズW0Wエマルションの設計

 

藤田尚美1)、戸塚裕一1)、竹内洋文1)、長濱徹2)、明渡孝夫2)

 

1)岐阜薬科大学、2)大正製薬

 

近年新規に開発された多孔性のセラミック膜を用いて膜乳化を行い、粒子径が微細で安定なW0Wエマルションを調製し、粒子特性について稀々の評価を行った。得られたサブミクロンサイズのエマルションは、凍結乾燥法を用いて粉末化し、水を加えることで容易に再分散が可能なドライエマルションの調製を試みた。また、蛍光薬物を封入したエマルションをラットに経口投与し、粒子の挙動観察を行った。

A03

表面自由エネルギーによる医薬品の付着性評価

 

米持悦生

 

東邦大学

 

本研究では種々の錠剤成型用の合金について、医薬品との付着性とその原因について検討した。試験用金属としては、合金工具鋼(SKS)及び高硬度クロムニッケル合金(CAN)、ステンレス鋼(SUS)を、医薬品としては、付着凝集性の高いことが知られているクエン酸水和物を用いた。これまで汎用されているSKSに対し付着性の高い医薬品は、表面自由エネルギーの値が金属材料と比較的近いことが明らかとなった。

A04

NIRケミカルイメージングを用いた錠剤中の主薬の分散状態の評価と定量精度との関係

 

小澤明日香1)、吉橋泰生1)、米持悦生1)、小出達夫2)、檜山行雄)、寺田勝英1)

 

1)東邦大学、2)国立医薬品食品衛生研究所

 

本研究では従来法及び近赤外分光法(NIRS)を用いて錠剤の含量均一性を評価し、NIRケミカルイメージングを用いて錠剤中の主薬の分散状態を評価した。主薬含量の変化によって分散状態の違いを観察することができた。また、主薬成分の違いによって錠剤表面に粒子の凝集や細かな粒子の分散が観察された。以上の点からNIRケミカルイメージングは、成分や含量の異なる錠剤の分散状態及び粒子径の違いを比較検討するのに有用な手段である。

A05

メカノフュージョン法による経肺吸入製剤の吸入特性改善

 

町田聡

 

東邦大学

 

メカノフュージョン法による経肺吸入製剤用キャリアーの物性変化について検討した。本研究では主薬にトリアムシノロンアセトニドなどを用い、キャリアーには乳糖を添加剤にはステアリン酸マグネシウム、シュガーエステルを用いた。メカノフュージョン処理によりキャリアーの表面粗度や表面自由エネルギーが変化し、これらパラメーターは吸入特性に大きく影響を与えていた。

A06

崩壊剤「コリドンCLグレード」の機能性の研究と固形製剤への利用

 

田辺光徳

 

BASFジャパン株式会社

 

コリドンCLグレードは、BASF社が開発したクロスポビドンであり、その優れた膨潤性により崩壊剤として主に使用されている。本報ではコリドンCLグレードの機能性(膨潤量、膨潤速度、膨潤速度膨潤圧等の膨潤挙動)と固形製剤中の崩壊剤としての機能の関係について研究報告をする。

A07

噴流層型バインダレス造粒法による粉末吸入製剤用PLGAナノコンポジット粒子の設計

 

原香織1、辻本広行1、塚田雄亮1、羽多野重信2、川島嘉明3

 

1)株式会社ホソカワ粉体技術研究所、2)名古屋大学大学院工学研究科、

3)愛知学院大学薬学部

 

薬物を封入した平均粒子径が200nm程度のPLGA(ポリ乳酸グリコール酸)ナノ粒子はin vivo経肺投与で薬理効果が実証されてきているが肺への送達性に課題は多い。本研究ではPLGAナノ粒子の肺への送達性に優れた粉末吸入製剤用ナノコンポジット粒子の調製を目的とし、微粉体自身の保有する付着力を利用した噴流層型バインダレス造粒法にて造粒した製剤の機能性について評価した。結果、PLGAナノ粒子と賦形剤の凍結乾燥粉末をジェットミルで粉砕混合してバインダレス造粒すると、ハンドリング性に優れかつ高い吸入特性を示すDPI製剤が作製された。

A08

NFκB Decoy Oligodeoxynucleotides (NDON) 含有PLGAナノスフェア(NS)の開発とそのアトピー性皮膚炎への応用

 

塚田雄亮1)、辻本広行1)、原香織1、坂口誠2)、青木元邦3)、森下竜一3)、川島嘉明4)

 

1)株式会社ホソカワ粉体技術研究所、2)アンジェスMG株式会社、3)大阪大学大学院(医学系研究科臨床遺伝子治療学)、4)愛知学院大学(薬学部製剤学教室)

 

アトピー性皮膚炎に効果のあるNFkBデコイオリゴ(NDON)は分子量が大きくバリア機能の低い顔面以外の部位への適用には更なる皮膚透過性及び細胞内送達性の向上が必要である。本研究ではNDON含有PLGANSを調製し、マウスDTHモデル評価系により経皮投与時におけるin vivo薬理評価を行った。その結果、従来のNDON含有軟膏製剤に比べPLGANS製剤は10倍低用量において同等の有効性が確認された。このことよりPLGANSの皮膚透過性、遺伝子の細胞内導入効率の向上が示唆され、今後のアトピー性皮膚炎への適用拡大に向けた新規経皮製剤設計法の構築が期待された。

A09

粉砕による難溶性医薬品の可溶化およびナノ微粒子化:クラリスロマイシソーアスコルビン酸2-グルコシド2成分系

 

井上裕1)、戸塚裕一2)、森部久仁1)、熊本卓哉1)、石川勉1)、山本恵司1)

 

1)千葉大学大学院薬学部研究院、2)岐阜薬科大学

 

クラリスロマイシン(CAM)の溶解性改善のために、アスコルビン酸2-グルコシド(AA-2G)との混合粉砕を行うと、モル比(1:1)では可溶化が観察された。1Hおよび13C-NMR測定により、可溶化がCAMAA-2Gとの相互作用に起因していることが明らかとなった。CAMAA-2Gのモル比2:1の混合粉砕物を水に分散させると、CAMのナノ粒子形成が観察され、得られた微粒子は水中でも7日間安定に存在した。

A10

【新製品のご紹介】超高成形性セルロースセオラス® KG1000

 

大生和博

 

旭化成ケミカルズ株式会社

 

この度、成形性を極限まで高めることに成功した、日局結晶セルロース、セオラ® KG1000を上市します。KG1000は粒子の長径/短径比を最大限に高めることで、粒子の絡み合いを促進させた塑性変形性に優れる製品です。10%未満の少量添加での硬度/摩損度改善や高ドーズでの打錠障害改善に適します。また粒子内部に空隙を有しており、液体成分のシミだしを抑えるので、液体成分の錬剤化に適します。

A11

医薬用賦形剤"galenIQTM"の特性

 

寺岡誠

 

株式会社樋口商会

 

galenIQTMは、ドイツのパラチニット社が製造する一般名がイソマルトの糖アルコールで、EP/BP/USP29-NF24に収載されている。医薬品での主な適応分野は経口固形製剤であり、安全性は非常に高く、WHOでは最大無作用量は定めない物質としているBSEフリーの医薬用賦形剤である。

A12

レーザーアブレーション法によるナノ粒子の創製と微粒子コーティングへの応用

 

永禮三四郎

 

株式会社奈良機械製作所

 

高エネルギーのパルスレーザーを用い、減圧下でのレーザーアブレーション法によるナノ粒子の創製技術についてご紹介致します。又、創製と同時にその場で基板上や他の粒子表面上に創製したナノ粒子でコーティングする手法について、その事例や応用面などを含めてご説明致します。また、同法による液相中でのナノ粒子生成についても合わせてご紹介致します。

A13

機械化学分散装置を用いた乾式コーティング法による徐放性徴粒子の調製

 

湯浅宏

 

松山大学

 

本研究では、製造プロセスにおいて、近年開発された機械化学分散装置"Fascinate®"を用いた乾式コーティング法によって徐放性徴粒子の調製を試みた。テオフイリン(Tp)をモデル薬物として用いた。結晶セルロース粒子(Celphere® SCP-100CP-203AsahiKasei)を核粒子として、Lubriwax(LW)Macrogol6000MG)等をコーティング基剤ヤバインダーとして用いた。Fascinate®により、非常に短時間で、TPLWMGをコア顆粒にコーティングすることが可能であった。また、TPの放出速度はLWMGの比率により変化した。

A14

ガス吸着法による粉体の比表面積・細孔分布及び気効率測定法

 

宮澤浩司

 

ユアサアイオニクス株式会社

 

粒子設計には粉末や顆粒の比表面積・細孔分布及び気孔率が重要なパラメーターとなる。不活性ガス分子をプローブとして吸着現象を解析することで、粉体の微細構造を把握する事ができる。また、水分子を用いると表面の親水性・疎水性の評価、アンモニアガス・炭酸ガスを用いると材料表面の酸性・塩基性等の化学的性質も計測する事ができる。

A15

研究開発用微粒子製造スプレードライヤ

 

藤井正嗣、竹下幸恵

 

大川原化工機株式会社

 

研究開発用微粒子製造スプレードライヤの紹介およびマンニトールを使用した実験結果

A16

パーコレーション理論と難水溶解性薬物を含有する製剤におけるでんぷんの崩壊剤としての役割

 

木村豪1,2), Maxim Puchkov1), Gabriele Betz1), Hans Leuenberger1,3)

 

1)バーゼル大学薬学部、2)塩野義製薬株式会社、3)Ifiip llc

 

本研究では、パーコレーション理論に基づいて三成分系における錠剤の崩壊時間を最少にするでんぷんの臨界濃度(=パーコレーション閾値)について検討した。その結果、パーコレーション理論は二成分系への適用が限界ではなかった。また、いかにパーコレーション理論を崩壊剤であるでんぷんを含有する二成分系のカフェイン製剤及び三成分系のメフェナム酸製剤の特性の解析に用いることができるかを示した。でんぷんと薬物の体積比で表されるパーコレーション閾値(pc)はそれらの平均粒子径が近い場合、薬物の水への溶解性に関係なく、約0.2(v/v)であった。更に、パーコレーション閾値付近における崩壊時間の推移をパーコレーション理論の基本式で数学的にモデルでき、その臨界指数(q)は約0.3であった。

A17

新型回転盤脱着機構採用の「AQUARIUS GLOBAL

 

藤ア克人

 

株式会社菊水製作所

 

1改良型新規回転盤脱着機構の採用により、脱着工程の簡素化に成功。

2フレーム構造を見直し、前右支柱を取り除き、打錠エリアへのアクセス向上。

3現在注目の外部滑沢装置の取り付けが出来ます。

4EU規格、新TSM規格の金型に対応。

 

B(ナノテクノロジー)

B01

高周波熱プラズマを用いた粒子球状化技術

 

湯蓋一博

 

日清製粉グループ本社

 

高周波熱プラズマを利用したセラミック粒子の球状化技術について報告する。本研究では、原料粒子と同程度の粒子径を持つ数ミクロンレベルの球状粒子の作製を目的とし、その球形度や粉体物性を測定した。球状化処理をした粒子は、原料と比較し流動性が向上し、充填密度が大きくなることがわかった。ジルコニア、アルミナ、チタン酸バリウムなど融点の異なる材料の球状粒子を紹介する。

B02

液中ナノ粒子の気中分散による粒径分布の計測

 

Wuled Lenggoro

 

広島大学

 

液相中にあるナノ粒子を静電噴霧を用いて、気相中に分散したナノ粒とする技術を開発することで、従来のエアロゾル計測技術を用いて、気相中に浮遊している粒子の粒子径分布を計測できた。また浮遊している粒子を個別に加熱し、液相中粒子のまわりに存在する分散剤(有機物)を除去し、有機物の情報も得られる。これらは孤立されたナノ粒子に対する新しい熱分析手法の開発につながる。

B03

酸化スズナノ粒子のMicromolding in Capillaries (MIMIC)法による微細構造パターニング

 

今須淳子、目義雄、不動寺浩

 

物質・材料研究機構

 

ソフトリソグラフィーの一つであるMIMIC法によるセラミックス微細構造のパターニングを行っている。これは毛管現象によるモールドへの自発的な浸入を利用したパターニング法で、ナノ粒子の数vol%の濃度のエタノールサスペンションを使用することにより密で厚みのあるパターンが広範囲に形成されることがわかった。このプロセスで作製した幅約20μmで数mmの長さの酸化スズのストライプパターンについて報告する。

B04

非平衡プロセスにおける炭酸カルシウム中空粒子の合成

 

渡辺秀夫

 

名古屋工業大学

 

塩化カルシウム溶液に炭酸ガスを吹き込む事により形成される炭酸イオン系の非平衡状態において、炭酸カルシウム中空粒子が合成される。本研究では、合成される中空粒子の形状に対する塩化カルシウム溶液の初期pHの影響を調べ、炭酸ガスが吹き込まれた塩化カルシウム溶液の透過光強度の時間変化を追跡することで炭酸カルシウム微粒子の凝集過程について検討を加えた。

B05

中空粒子合成を目的としたバブルテンプレート法

 

韓永生

 

名古屋工業大学

 

我々はバブルテンプレート法と呼ばれる中空粒子を合成する新規な方法を提案する。中空粒子は、気泡表面での一次粒子の凝集により形成される。本法では、気泡は反応物であるのみならず中空粒子のテンプレートである。本法により、炭酸カルシウム、シリカゲル、酸化亜鉛の中空粒子を作製した。本法が低コストかつ高い生産性を有する中空粒子合成のための効率的なプロセスであることが証明された。

B06

キャピラリー電気浸透流を用いた新規粒子配列法

 

遠藤健司

 

名古屋工業大学

 

キャピラリー電気泳動を行う際に電気泳動のほかに電気浸透流が発生する。この流れを用いて粒子の移送を行った。陽極溶液はPMMA懸濁液、陰極溶液には様々な水溶液を用いて配列を試みた。キャピラリー末端から放出された粒子は自重での落下により、陰極中に設置した基板上へ付着させた。この際、ステージ移動を制御することで任意の位置に粒子配列パターンを作製した。

B07

最新レーザー回折・散乱式粒度分析計による下限域の高分解能限界への挑戦

 

糠信敦司

 

日機装株式会社

 

短波長レーザーを用いたレーザー回折・散乱式粒度分析計で、微粒子領域の分解能の向上を図った。

B08

キャピラリー電気泳動法を利用したアルミナスラリー評価

 

山川智弘

 

名古屋工業大学

 

セラミックス材料の各種性能および信頼性は、セラミックス成形時のスラリーの粒子分散状態と深く関係していることが知られている。しかしながら、温度変化にともなって、スラリーの性質が変化するなどの理由から、スラリー成分の評価法は非常に重要である。そこで本研究では、新たなスラリー管理法として、キャピラリー電気泳動法を用いたスラリー成分分析法の開発を試みた。その結果、本手法は、スラリー中の成分分析はこれまでの水溶液中で測定される手法と同様で定量できることが分かった。

B09

コロイド法による硫化亜鉛ナノ粒子の調製と工学的応用

 

新生恭幸、森康維

 

同志社大学

 

硫化亜鉛粒子ナノ粒子(ZnS NPs)をコロイド法で作製した。凝集抑制剤として粘土(スメクタイト)やチオグリセロールを用いた。スメクタイトとZnS NPsのナノコンポジット材料は高い光触媒活性を示し、水から水素を得ることができる。またZnS NPsの調製でチオグリセロールを用いると、ナノ粒子の凝集を抑制するだけでなく、本来ドープされにくい金属を容易にドープさせることができ、新しい蛍光波長の材料が得られる。

B10

PATを指向したラマン分光分析法

 

寺下敬次郎1)、古川剛志2)、久田浩史2)、落合周吉2)

 

1)大阪ライフサイエンスラボ、2)(株)エス・ティ・ジャパン

 

本研究では、結晶形の異なる賦形剤、無機質で結晶形に差異のある添加剤、および主薬を用いた処方の下で撹拌混合実験を行い、その混合状態を広域プローブ型ラマン分光光度計により、リアルタイムで測定した。測定は完全に非接触の状態で行われた。その結果、リスクを低減させて、一定品質の混合物(中間製品)が恒常的に生産できる混合終点を決定することができた。この終点では5成分の粉体が良好に混合されている。

B11

化粧品原料用球形シリカ粒子の表面修飾による粉体物性制御

 

田面木真紀、塚田まゆみ、可児俊之、鈴木高広、神谷秀博

 

東京農工大学大学院

 

化粧品原料として使用されているナノ細孔を有するシリカ粒子および緻密な溶融シリカにシランカップリング剤により表面処理を行い、マイカ表面との相互作用をコロイドプローブAFM法で評価し、ナノ細孔、表面処理の有無による付着性など粒子特性への影響を考察した。

B12

固定燃焼発生源からの凝縮性浮遊粒子状物質の排出挙動

 

西川央、劉予宇、塚田まゆみ、神谷秀博

 

東京農工大学大学院

 

浮遊粒子状物質(SPM)は大気汚染物質の1つであり、呼吸器疾患を起こす。廃棄物焼却など固定発生源から排出されるSPMでは、凝縮性SPMが生成上からも重要な位置を占めている。凝縮性SPMの排出挙動を評価するため、CdPb蒸気を含むモデル燃焼排ガスをバグフィルターを通過させ、空気により希釈冷却して生成する凝縮性SPMの粒径分布を測定した。その結果、フィルター通過後の凝縮性SPM10nm以下のナノ粒子になること、フィルターに灰が堆積すると排出量が減少することが確認された。

 

C(晶析)

C01

/液界面を利用した非対称粒子作製のための新規晶析法の開発

 

門田和紀

 

同志社大学

 

これまでの晶析方法は、熱エネルギーを用いることが多く、医薬品や食品ではタンパク質やアミノ酸といった熱に弱い物質を含むため、熱による変質に問題を抱えていた。また、貧溶媒を加えるような熱を加えない方法でも、反応容器内における過飽和度のむらが問題になっていた。そこで本研究では、二相分離溶媒間に形成される液−液界面を利用する新しい晶析法を提案し、結晶形態制御法に関する検討を行った。

C02

炭酸塩ナノ粒子の晶析に対するマイクロ波照射の適用

 

松本真和、廣瀬壮一郎、福永知洋、尾上薫

 

千葉工業大学

 

炭酸塩は、製紙、顔料・塗料、医薬品、食品などの様々な産業において幅広く用いられている。これらの産業では、微細な粒径、狭い粒径分布、均一な結晶構造・形状からなる炭酸塩が求められている。本研究では、液相励起が可能なマイクロ波(2.45GHz)照射を炭酸塩微粒子の晶析に適用した。炭酸塩の過飽和溶液にマイクロ波を照射し、操作因子として照射出力を変化させた。その結果、照射出力が400Wにおいて、平均粒径が400 nmの均一な炭酸リチウム粒子が得られた。

C03

添加物によって誘起される石膏結晶の成長速度変化

 

加賀谷重浩、城石昭弘、

 

富山大学

 

溶液中の共存不純物や添加物は通常は結晶成長速度を大なり小なり阻害するとされているが、塩化カルシウムと硫酸を反応させて石膏結晶を得る反応晶析においてある種の界面活性剤等を反応溶液に添加すると生成する結晶の成長速度が添加しない場合に比べて増大することが実験的に見出された。

C04

Fuzzy Logic Control of a Batch Crystallizer

 

Sohrab Rohani

 

The University of Western Ontario

 

A fuzzy logic control methodology is developed for the control of a seeded semi-batch crystallizer. Crystallization of paracetamol (PA) in isopropanol-water mixtures was used as the model system. The concentration and cord length counts were measured using an in-situ ATR-FTIR and an in-situ FBRM® probe, respectively. Three open loop feeding policies; Concave (CCFP, similar to natural cooling); Linear (LFP); and Convex (CVFP, near controlled cooling); were employed to investigate the process dynamic behavior in order to construct the fuzzy controller structure for the control of supersaturation within a predefined zone close to the solubility curve. It is found that the fuzzy controller can ensure tracking of the concentration within the zone leading to substantial improvement of the end product size distribution. Selecting the initial PA concentration above the upper limit of the concentration results in longer process times. The open-loop results show that the feeding policy (addition of water) does not prevent the nucleation and agglomeration, however, both phenomena can be minimized by the LFP.

C05

塩化ナトリウム結晶生産における結晶成長速度の向上

 

正岡功士

 

()塩事業センター

 

微結晶の付着現象を利用して高結晶成長速度の実現するための基礎的検討として、冷却式流動層型回分晶析装置を用いて、母液に懸濁する微結晶数が結晶成長速度に与える影響について検討した。また、同装置と撹拌槽型晶析装置を用いて結晶成長速度が向上した場合の液泡量について検討した。その結果、検討範囲内において結晶成長速度は懸濁微結晶数の増加とともに増大した。また、結晶成長速度が向上した場合の液泡量への影響は小さかった。

C06

A型ゼオライトナノ結晶の核生成と結晶成長のその場観察

 

大久保達也

 

東京大学

 

小角X線散乱(SAXS)のその場測定を行い、A型ゼオライトナノ結晶合成時の前駆体の挙動に関する検討を行った。SAXS の解析から、ゼオライトの生成に先立ち、0.5nm4.5nmの前駆体粒子が観察され、4.5nm粒子は結晶化プロセスに大きな影響を及ぼすことがわかった。加えて、カチオン種(Na+TMA+)の結晶化に及ぼす影響を検討した。

 

D(その他)

D01

simulation tool for process engineers and researchers

 

Gad Amir

 

VixiMix

 

VisiMix software is a simulation tool for process engineers and researchers. The VisiMix programs are based on the combination of the most modern physical and mathematical models  with accumulated practical experience in mixing technology and process engineering. They provide data on average and  local parameters of hydrodynamics, turbulence, mass- and heat transfer for practically all process applications, including suspension, drop breaking, dissolution, crystallization, gas consumption, etc. 

The programs are widely used for development, improvement and  optimization of mixing, heat and mass transfer and reaction processes in existing and new mixing equipment. Among the customers -  Dow Chemicals, Pfizer, GlaxoSmithKline, 3M, Mitsubishi Chemicals, Nippon Chemical, Xerox, Unilever, Eli Lilly, Schering Plough, Hercules,  General Electric, Chevrontexaco and other leading chemical producers.

D02

Desktop crystallization

 

Hamp Turner

 

Turner Technology

 

The ability to quickly perform accurate estimations of processes is invaluable to designers and operators of crystallization unit operations. Fundamental calculations include determination of thermodynamic equilibrium, estimation of supersaturation levels, and material and energy balances. CalcAQ provides just such a tool as a user-friendly add-in module to Microsoft's ubiquitous Excel spreadsheet interface. Using design criteria or online measurements, calculation of fundamental parameters can be combined with available crystallization models for improved estimation results. This paper describes advances in this area.